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時よとまれ、君は美しい。
自分が魔法使いだと知ったとき、私は思わずそれを願った。
しかし願いは叶わず、一瞬にして消え去った高揚感の後に続いたのは、どうしようもない喪失感と後悔だった。
純粋に喜ぶことが出来るほど、私は夢ばかりを見ていた訳ではなかった。
いや、正確に言えば、夢は見ていた。
ただそれが、おとぎ話ではなかったというだけのこと。
「時よとまれ」
「……馬鹿馬鹿しい」
スネイプ教授はそう吐き捨てて、私が彼に向けた杖を払った。
「…………」
「…………」
カチャカチャとビーカーのぶつかる音がする。
教授は黙々と、次の授業の準備をしていた。
「教授……私、魔法使いは決して、後悔などしないのだと思っていました」
「…………」
「魔法使いになったらいくらでも時間を戻してやり直せると、そう信じていたんです」
「…………」
「あの瞬間へ戻って、そうして永遠に続けばいいと」
「…………」
「今でもそう思うんです」
「時よとまれ、君は美しい。」
「……馬鹿馬鹿しい」
スネイプ教授はそう吐き捨てて、瞼を閉じた。
私も瞼をゆっくり閉じて、瞼の裏に焼きついて離れないあの夏空を見た。
「戻ったところで、どうせ何も出来ないのであろう」
あなたも。わたしも。誰一人として。
時よとまれ、君は美しい。
けれども時が流れるからこそ、君は美しい。
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濱マイクで見たときなんじゃこれー!て思った。
<2004.7.1>
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