白馬の王子さまなんて、信じちゃいない。
信じれば夢は叶うなんて言えるほど子供じゃない。
休日にぼんやりと窓の外を眺めていたら、向こうから金髪に青い目の男がやってくるのが見えた。
「やぁ、!どうしたんだい、ぼんやりして!!」
煌びやかな衣装を翻して、白い歯をキラリと光らせて。
何故だか、私はこの男に好かれている。
どうしたものか。
「何か問題でも?」
「、まだ若いのに、ぼんやりしちゃぁダメだよ!僕と話をしないかい?」
「話すことなんてありませんが」
「…………そ、そうだ!」
男は何を閃いたのか、嬉しそうに笑った。
アハッ☆と。
「明るい未来について!!」
突拍子の無い話題に不意を衝かれて逃げ損ねた私は今、男と『明るい未来』について話している。
「占い学がお好きなんですか」
「、運命とは人間がつくるものさ!さぁ、の夢みる明るい未来について話しをしておくれ!!」
私は静かな休日という明るい未来のために、おとなしく話を始める。
「潮騒の音が聞こえます。
静かな町の小さな家の庭です。
薪で火を焚いて、大きなフライパンでホットケーキを作っています。
バターとたっぷりのハチミツと。
誰かが、笑っている声が聞こえます」
男が笑って、にっこりと。
「そこに、わたしはいるのかな?」
「……まさか」
ロックハート教授はアハッ☆と笑って、煌びやかな衣装を翻して「それは、残念」と言った。
彼はやる気無く突っ立った私のすぐ前に立って、少し屈んだ。
「わたしの明るい未来には、が絶対に必要なのに」
耳元で囁いて。
背の高い彼が目の前に立つと、私の顔は彼の胸の辺りで。
何だか驚いてしまった私に、彼はもう一度、少し屈んで。
唇が額に触れました。
「わたしのためにホットケーキを焼いてもらえないかい?」
白馬の王子様なんて、信じちゃいない。
信じれば夢は叶うなんて言えるほど子供じゃない。
でも、嘘っぱち王子なら信じていいかもしれない。
叶えられる夢なら信じていいかもしれない。
そんな風に思えてしまった。
どうしたものか。
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ロックハート夢!?似非ですみません。
何だこれ。
<2004.10.15>
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