青春エキストラ::::::::::お終いの日 それは1年のお終いの日。 色々あったりなかったりで大騒ぎの大広間。 大好きなパイを頬張りながらあたしは 悟ったのです。 あたしが知らないところで世界は回ってる。 ぐるぐるぐるぐる。 知らないうちに一年が過ぎる。 そうしてやっと、世界が回ったことに気付く。 疑問符しかのこりゃしないじゃない。 シリウス・ブラックが捕まってたけど、また逃げた? リーマス・J・ルーピン教授が人狼で辞職? ハリー・ポッターが一枚咬んでる?って。 何それ? 何で急にルーピン先生がいなくなっちゃうの? どうして? どうして、淡い恋心は何の前触れもなく踏みにじられたの? もう、二度と会えないの? どうして、そんなことになってしまったの? どうして あたしは あなたを ? スネイプやハリー・ポッターは知っていたということ? 校長はマクゴナガル先生は 悟ったのです。 あたしはただのエキストラだったってことだろう。 主人公はハリー・ポッターだ。 彼は英雄だから。 今回の敵はシリウス・ブラック? 言うならば彼は中ボスってところか。 ラスボスは「例のあの人」として。 吸魂鬼が雑魚ね。 スネイプも中ボスかな。スパイっぽいな。 主人公は与えられた試練を乗り越える為に、この一年間奔走してた訳。 きっとルーピン先生は主人公を導くためのキャラだったんだ。(だって彼らが話しているのをよく見かけた) あたしは何も知らない村人A。 事が過ぎてから噂話をしているだけの。 どんなシナリオがあったかなんて知らないわ。 あたしはただのエキストラで主人公じゃなくて。 ルーピン先生。 全てが終わる前に、あなたのことを知りたかった。 そしたら、こんな結末にはならずに済んだかも知れないのに。 「ハリー・ポッター」 「君、誰?どこの寮?」 「当事者なら最善の手を尽くしなさい」 「へ?」 所詮、あたしは村人Aさ。 あたしの言葉など勇者様の心には残らないだろう。 いつだって、そう、最後まで。 あたしが知らないところで世界は回ってる。 1年のお終いの日、大好きなパイを頬張りながら、あたしはそう悟ったのです。
<2004.12.05> 主人公にはならなくても良いけど、出来ればその最中にいたいと昔から思ってた。 ルーピン教授に惚れていた女子生徒Aからみた「アズカバンの囚人」を見てみたい。