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開いた扉の向こう、トキメキの魔法。
地平線が見たい
と、彼女は言った。
風の音がごおごおと鳴っていた。
目も開けられない。
少しでも気を抜けば、飛ばされてしまいそうだと思った。
「少し気を抜けば、どこかへ飛ばされて」
彼女が言った。
「どこか遠くへ行けるのかしら」
「?」
隣にあった微かな温もりが、どこかへ消え去ってしまった気がした。
ぴたりと急に風が止んで。
恐ろしかった。
何の音も聞こえない。
目を開ければ、そこに広がっているのは虚無なのではないかと思った。
冷や汗が背中を伝って。
死んでしまいそうなくらいに。
左手が温かかった。
目を開けると、そこにはどこまでも続く青いあおい空と、どこまでも続く青いあおい草原。
地平線が。
柔らかい風が吹いて歌う声が微かに聞こえた。
左手の先には君がいて、おかしそうに笑っていた。
「どうしたの?」
「だいすきだよ、」
僕ははじめて魔法を見た。
想像もつかないくらいの驚きと恵み。
甘い囁きのような。
君は魔法使い。
<2004.12.13>
……いや、意味がわかんないからさ。
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