TYPE-L 06.こっちを見るな! あの人の黒い、光りの宿らない黒い目で見つめられると、私はどう生きていいのか分からなくなる。 どんなテンションで生きたらいいのか分からなくなる。 頼むから。 こっちを見るな! 黒い目はずっと私を見続けている。 どう振舞ったらいい。 虚勢を張ることも、可愛らしく見せることも、素の自分を見せることも出来ない。 させない。 その黒い目は。 どう生きたらいい? 「ミス・」 響いた声に体が震える。 右手に持っていた恐ろしい物体は、目の前の大鍋の中に落ちていった。 「なんですか、教授」 「…………」 スネイプ教授は眉間の皺を増やして。 その黒い目でじっと私を見つめる。 頼むから。 こっちを見るな。 「乾燥トカゲのしっぽは、一度水に戻してからだと言わなかったかね?もう、一度、始めからやり直しだ」 あなたのその目で見つめられると、胸が苦しくて、どう生きていいのか分からなくなる。 ---------------------------- <2004.8.27> スネ先生と補習授業です。ふたりっきりだと視線が気になるという話。