TYPE-L 10.お前は敵だ もう、駄目だと思った。 私はこれ以上、シリウスと一緒にはいられないと思った。 「ごめんなさい、シリウス」 別に構わないと苦笑いをした。 あなたは私を愛してはいなかった、たぶん。 とても、長い時間だった。 きっと、そうなのだろう。 何度も一緒に誕生日を祝った。 キスもしたし、セックスだってした。 とても、長い時間を恋人として過ごしてきた。 けれども、私たちはあまりにも幼くて、人を愛するということの本当を知らなかった。 恋人という不確かで、けれども強い、掟のようなものに縛られて、ここまで来ただけだったのだろう。 本当に人を愛するということは。 「本当に、ごめんなさい、シリウス」 去ろうとした私の手をシリウスは優しく引き止めた。 俯いて。 「シリウス」 「ありがとう」 いびつな笑顔。 ゆっくりと手を離して。 シリウスと過ごした長いながい時間の中で、私が得たものは何だったんだろう。 シリウスは顔はいいのに馬鹿で、人のことを思いやれなくて、たまに酷い事だってするし。 それなのに。 走馬灯のように甦る日々の端々に、生暖かくて優しい愛情のようなものが、確かに滲んでいて。 人を愛するということの本当を知らなかった私は、シリウスと過ごした時間の中で、確かに愛を知ったのに。 それを知ることが出来たのは、シリウスが私を愛していてくれたからで。 私とシリウスの関係を終わらせたのは。 「ごめんなさい。ありがとう。さようなら」 「さようなら」 お互いに涙は流しません。 私はこれから敵を倒して、君を迎えに行きます。 だから、それまで、どうか。 ---------------------------- <2004.11.13> 初のシリウス夢です。 お題の言葉を本文中に入れないというのをやってみました。 とても分りづらいです。