「おーい!もう、気ぃ済んだろい!」
「まだー!!」
「…………」
「ブン太が後悔してくれるまで、戻らないからー!!」
サンキュー☆
転落防止のバーなんて、あたしにはあたしの思い通りに動く手も足もあるのですから、何の意味も無いのです。
もう、あと一歩、動いたらすぐにでも落ちられる。
「俺ー、に何かしたー!?」
春の風は気持ちが良くて、今なら海に入っても大丈夫なんじゃないかと思う。
「わかんないなら、それでいいわよー!」
「よくねー!」
下からブン太が大声で叫ぶ、私も屋上から大声で叫ぶ。
そうしないと聞こえないから。
「あたしが死んでから、一生悔いるがいーわっ!!」
「だーかーらー、俺が何したってゆーんだよ!!」
「何で、わかんないのよー!!」
「あたしは、ブン太が……」
突然の強い風にバランスを崩して、足がすべる。
ねぇ、気づかない君への当てつけに、死んでやろうなんて、ホントは冗談。
当たり前だよ。
あたし、後悔なんてしたくないもの。
「ブン太が好きーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
信じられない速度で落下する体は、あたしのいうことなんてひとつも聞かなくて。
目をぎゅっと瞑って、ありったけの声で叫んだ。
ドッと鈍い音がして、甘い匂いに目を開けたなら、そこに赤い髪があった。
「サンキュー☆」
ブン太が痛そうに眉間に皺を寄せて、ピースしながら笑って言った。
「サンキュー☆」
死ななくてよかったよ。あたしも、あんたも。
「俺も、のこと好き」
君の心を奪うのならば、後悔なんかじゃなくて、愛で奪いたいのです。
「ねー、めっちゃ、足痛いんだけど、折れてるよ。これ」
「俺も、足捻ったし、色んなとこ痛いんだけど」
笑い話じゃないんだけどと、ブン太が笑っていうから。
「ごめんなさい」
「俺も。気づかなくて」
「ねぇ、きっと後で真田くんとかいろんな人に怒られるけど、あたしはブン太の味方だから。ブン太も、あたしの味方になって」
「いいよ」
「うん。サンキュー☆」
「サンキュー☆」
笑って、許して、大好きだって。
そうだ。サンキュー☆マイラバー!!
ふざけてる!!
本当はもっと暗い話にしようと思ったのですが、題名に☆をつけたのがいけなかったのか、もう、こいつら世の中なめてるよ!!
比呂士あたりから、開き直ったかのように乙女心を書いてないですが、だって、わかんねぇよ。そんなもん。
あー、すみません。すみません。 |